広島県環境整備事業協同組合
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業界誕生の背景
   わが国では数世紀に亘り、し尿の処理について世界的にも珍しい有効利用システムが発達してまいりました。農村のみならず都市部も含めたし尿の大部分が嫌気性バクテリアを利用した長期間熟成により肥料化され農業生産に活用されてきました。このため、敗戦直後まで国内の大部分の地域で、し尿は廃棄物どころか有価物(肥料原料)として市街地から農地へ流通していました。
 ところが1950年代から日本の社会構造が大きく変化し、農村から都市への人口移動が始まり農業労働人口が急激に減少したため手間の掛かるし尿の肥料化に変わって外国からの安価な材料による化学肥料の使用が急激に進んだこと、更に食品衛生の観点からもし尿を原料とする肥料が敬遠され、し尿は極めて短期間で有価物から廃棄物へと変わってしまいました。
 昭和29年の旧清掃法により市街地区域の汚物(廃棄物)処理責任が定められた市町村にとって、この急激なし尿の廃棄物化は大きな困難をもたらしました。比較的簡単に処理することができ人口1人当たりの発生量も少なかったゴミに比べて、し尿は現在とほとんど変わらない処理量と処理技術の問題に直面したからです。
このため全国の処理施設を持たない市町村は、民間へ許可または委託として、し尿の収集運搬だけでなく処分についてもその責任を与え事実上、市町村自らの処理責任を民間に委ねたかたちで処理が行われました。しかしながら充分な処分能力を持たない業者は日常的に山や川への不法投棄を余儀なくされ、度々警察に検挙されるという事態が各地で発生し、この事は、本来「公」の担い手であるはずの業者への蔑視、偏見を更に助長することとなったのです。この状況は全国の市町村に処理施設が概ね完備した昭和40年代後半迄続いたのです。
 ところが昭和30年代の後半に状況を一変させる事件が持ち上がりました。それは戦後の混乱期から立ち直りつつあった国がようやくし尿処理施設に本格的に資金を投入し始め、全国的に多くの市町村がそれまで業者に行なわせていたし尿処理業務を直営に切り替える動きを見せ始め、政府もし尿処理業務を直営化すべきだとの内容の法案を国会に提出しようとしたのです。
 これに対して先進的な少数の業者を中心に全国の業者が団結して一年余りの抗議活動を組織し、その頂点としての全国業者のバキュームカーによる国会包囲デモをもって直営化法案は廃案となり、その後私たち業界の全国的組織化が進み、業者の団結による行政交渉の結果、汲み取り手数料の適正化や過当競争の排除等が行われ業者の社会的・経済的地位の向上が図られたのです。
   
合特法制定と合理化への取り組み
   このような業界の地位的向上と並行して、わが国の社会基盤整備の一環として都市部を中心に本格的な下水道事業が開始されつつありました。
 下水道は一般廃棄物収集運搬業務を減少させる事は明らかであり、ようやく安定しつつあった業界はまたしても大きな危機に直面し、これに対する行政交渉の結果、昭和50年「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」すなわち「合特法」が制定されました。
 合特法の目的は、下水道の整備により業務減少などの大きな影響を受けるし尿処理業者(浄化槽清掃を含む)の近代化、合理化により業者の業務安定を保持することと、廃棄物の適正処理が謳われています。
つまり、徐々に減少しつつも最後の一軒が下水道に繋ぎ込まれる迄の期間、し尿処理業務は全体の規模を縮小しつつも継続しなければならない現実を踏まえ、業者支援等によってし尿の適正処理を確保することも法の目的なのです。
 合特法自体には合理化事業の詳細な内容の定めはなく、下水道の整備により業者が受ける「著しい影響を緩和し、併せて経営の近代化及び規模の適正化を図るための事業」と抽象的に表現されていますが、その後の政令、通知等により、業務安定のための代替業務や転廃業資金の交付(税制特例あり)が定められています。
 合特法は、下水道整備を行なう市町村が当然発生する業者の業務減少に対して行なう支援を法律で定めると同時に、残された業務の安定的継続が市町村自らの問題であることを明らかにし、合特法は単なる業者救済のみならず市町村自身の処理責任遂行の方策を示したものであります。
 現在、広島県環境整備事業協同組合でも、全県下の合理化達成を重要方針の一つとして掲げ、県内各地で合理化についての協議を進めており、一日も早い県内全域の合理化協定締結を目指し、業界の安定とともに県民の生活環境の保全と公衆衛生の向上に取り組んでいるところです。
   
阪神淡路大震災
   平成7年1月17日阪神淡路大震災では、いち早く現地に入り、し尿及び浄化槽汚泥の収集はもとより、現地の要望を受け、様々な支援活動を行い、広島県知事より感謝状を授与されました。
   
無償団体救援協定書
   平成15年10月31日広島県知事と当組合は、災害時のし尿及び浄化槽汚泥の収集運搬について、行政からの協力要請に基づき、全てを無償で支援するという協定を締結し、県内の災害時における緊急対応ができる体制が整えられました。また、この協定は県外の災害においても広域的に支援することとなっています。
   
浄化槽恒久化への取り組み
   近年、浄化槽による生活排水処理技術は急速な進歩を遂げ、下水道による集合処理と同等以上の処理水を得ることができるようにまでその技術は進歩しています。
一方、国、地方ともに1000兆円を超える借金大国といわれる現在、下水道整備に投じられるコストのみならず、その後の維持管理コストの面からも、下水道と比べはるかに財政負担の少ない浄化槽への注目が急速に高まっており、全国各地の自治体では、生活排水処理計画の抜本的見直しを行い下水道による面整備から浄化槽による面整備へと方向転換をする自治体も多く見受けられるようになっています。
 汚水処理人口普及率80%弱にまで達している広島県においても例外ではなく、今後整備が必要となる20%強の地域は、家屋の点在した中山間地域であり、今まさに下水道から浄化槽へと大きな転換期を迎えています。
 しかし、浄化槽は適正に維持管理がなされてはじめて、その機能が発揮されるものであり、現在の広島県内の現状は、未管理・未清掃が未だに多く存在し、法定検査に関しては、中国地方最低の受験率にとどまっています。
 また、清掃・保守点検・法定検査の関係がわかり難いという浄化槽の管理者(設置者)からの声もあり、広島県環境整備事業協同組合では、浄化槽の信頼構築は急務であるとの認識に立ち、平成15年・16年には浄化槽の恒久化をテーマに廃棄物適正処理推進大会を開催し、平成17年には大会名称を「生活排水処理フォーラム」と変更し、将来の快適な循環型社会に相応しい効率的且つ経済的な生活排水処理の在り方を未来予想図として描き、その推進に取り組んでいます。

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